「SEってよく激務って言われるけどなんでだろう」「SEってめっちゃ激務なんだけど客観的に見てどこがいけないんだろう」
SEの仕事は激務であると言われることが多いですが、私なりの観点でその理由を考えてみました。元SEで今はITコンサルタントとして働く立場から、SEが直面している激務の背景について深掘りし、実際にどんな要因がそれを引き起こしているのかを紹介します。
SEの仕事は、単なるシステムの開発だけではなく、顧客のニーズを理解し、システムに落とし込み、さらにそのシステムが現場でうまく使われるように支援するという複雑で幅広い役割を担っています。そのため、SEが抱える業務は多岐にわたり、特にシステム導入プロジェクトでは、予期せぬ問題や調整が続き、ストレスフルな状況が続くことがあります。
この記事では、SEの仕事がなぜ激務になるのか、その具体的な理由と、プロジェクトの進行における難しさについて解説していきます。これからSEを目指す方や転職を考えている方にとって、SEの役割や業務の特徴を理解する一助になれば幸いです。
【結論】システム導入プロジェクトは難しい
SEの激務は、システム導入プロジェクトの難しさに起因しています。システム開発のフェーズだけではなく、要件定義、業務調整、ステークホルダー間の調整、さらには品質保証や納期遵守に関わるタスクが膨大で、時間的な制約も多いため、仕事が過密になりがちです。特に顧客側のシステム導入に慣れていないケースや、プロジェクトの要件が変動する場合など、SEにかかる負荷が大きくなる要因がたくさんあります。それでは、具体的にどんな理由がSEの激務を引き起こすのでしょうか?
特に顧客側がシステム導入に慣れていない
システム導入プロジェクトでは、顧客側がシステムに対して十分な理解や経験がない場合が多いです。特に、ITシステムを導入するためには、業務運用の変更に対する覚悟が必要です。しかし、実際には多くの顧客側業務部門が、単なる「システム変更」として捉えており、システム導入にともなう業務変更のイメージができていません。結果として、要件定義の工程からいきなり炎上するのです。このような事態に直面すると、SEは顧客とのコミュニケーションや調整に追われ、結果的に労力や時間がかかります。システムが顧客の業務にうまくフィットしないと、SEがその修正や調整に時間を割かなければならず、結果として過度の労働となります。
難しい点
次に、SEが抱える難しいポイントについて見ていきましょう。
要件定義で要件を出し切れない
システム導入の最初の工程である要件定義は、プロジェクトの成否を決める重要な部分です。先ほども少しお伝えしましたが、顧客業務部門がシステム導入のプロジェクトに慣れておらず、顧客とシステム開発者が対話する中で、要件が十分に出し切れないことがよくあります。システムの仕様が決まる前に、顧客の現場メンバーはシステム変更の内容に対してイメージが湧いていないことが多いため、予期せぬ調整が後から必要になります。また、予算や時間の制約があるため、効率的に要件定義を進めることが求められますが、早急に決めなければならない項目も多く、結果として要件が不完全なまま進んでしまうケースが増えます。これはSEの負担を増やし、さらにプロジェクト後半で大きな問題を引き起こす原因となります。
顧客の現場側が業務変更の覚悟ができていない
新システムを導入することにより、現行業務からの変更が避けられません。しかし、顧客側の現場では、業務変更の覚悟ができていない場合が多いです。要件定義を進めていても、「今まで通りにできればよい」というコメントが多く、システム導入のプロジェクトを理解していないことが多いです。またその現行業務がどういう業務をしているのかを具体的に示す必要がありますが、そういったこともできないことが多いです。特にシステムの導入目的が業務改善や経営改善である場合、業務フローの変更が不可避であるにもかかわらず、現場がその変更を受け入れられず、要件定義や調整において問題が生じることが多いのです。
ステークホルダーが多く、利害が複雑
システム導入プロジェクトでは、多くのステークホルダーが関与します。顧客内でもIT部門や業務部門、経営層といった異なる利害関係があり、ベンダー側でもSEや営業、経営層、下請けベンダーといった多くの関係者が協力してプロジェクトを進める必要があります。他にも、コンサルが顧客側でプロジェクト管理をしていたり、他にもシステム導入ベンダーがいたりと、ステークホルダーが多いことが多い。そのため、これらのステークホルダー間で意見が一致しない場合が多く、プロジェクトの進行が遅れやすい。
ベンダー側が多重下請け構造
SIerのビジネスモデルは、SEが案件を受注した後(一次請けした後)、実際のシステム構築作業を下請けベンダーに発注することになり、これが二次請けにあたります。その二次請けのベンダーが基本的には具体的なシステム構築の作業をしますが、それをさらに子会社やフリーランスに発注している場合があるり、三次請けになることもあります。この場合、SEから見ると、スキルセットや品質の管理が難しくなり、リスクが増加します。これにより、SEは多重下請けの調整やコミュニケーションの責任を負わなければならず、プロジェクトの進行が遅れがちになり、さらにその調整がSEの仕事を増やします。
見積もりが甘くなりがち
システム導入プロジェクトでは、初期段階で見積もりを行いますが、これが甘くなってしまうことがあります。特に顧客からのコスト削減のプレッシャーが強いと、SEはプロジェクト予算を切り詰めた見積もりを提示してしまいがちです。実際には難しいスケジュールやリソースで進めることになってしまい、後から追加のコストが発生し、スケジュールが遅れるといった問題が起こり、SEの負担になります。
まとめ
SEが激務になる理由は、システム導入プロジェクトの複雑さや、多くの調整が必要な環境が影響しています。SEへの転職やSEでのキャリアを続けることを検討している方への参考になれば幸いです。
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