「コンサル界隈でよく言う期待値調整って、具体的に何をすればいいんだろう?」、「それはできませんと勇気を持つということ・・・?」
そんな疑問を持っている方へ、コンサルで働く上で何よりも重要と言われる“期待値調整”について、実体験をもとにご紹介します。私自身、SEからITコンサルに転職したのですが、SE時代には期待値調整の重要性を明確に教わることはありませんでした。しかし、ITコンサルに転職してから「期待値調整こそが仕事をする上での第一歩だ」と強く感じるようになりました。
この記事では、「期待値調整とは何か」「なぜ重要なのか」「どうやって行うのか」を具体的に解説します。
結論:期待値調整で相手と目線を合わせる
仕事における成功の鍵、それは期待値調整、とコンサルで働くうえで気づきました。
アウトプットの品質や納期が同じであっても、事前に期待値を調整しているかどうかで、受け手の印象は大きく変わります。逆に言えば、どれだけ素晴らしい成果物を出しても、相手の期待とズレていれば評価されません。だからこそ、作業を始める前に「何を」「どれくらいの品質で」「いつまでに」やるのかを、相手と目線を合わせるプロセスが不可欠です。これを行うことで無理な作業も減らせますし、無駄に頑張る必要もないとわかりました。
なぜ期待値調整が重要なのか?
相手のイメージとズレがあると、成果が評価されない
たとえば、ある資料を完璧に仕上げたと思っても、依頼者が「とりあえずのたたき台で良かったのに」と考えていた場合、「時間がかかりすぎた」とマイナス評価になってしまいます。逆に、簡単なドラフトを出したときに「もっと完成度の高い資料が欲しかった」と思われれば、信頼を損なうことにもなります。簡単なコミュニケーションで済む話なのですが、リモートだと明示的に期待値調整をしないといけないので難しいです。
自分の作業計画を立てやすくなる
納期と品質をすり合わせることで、自分の中でも作業の優先度や必要な投入時間を明確にできます。これにより、他のタスクとのバランスも取りやすくなり、効率的な時間管理が可能になります。
期待値調整の方法:いつ・どうやって行うのか
期待値調整を行うタイミングは、作業を依頼されたタイミングもしくはその直後がベストです。このとき、「こういった目的なら、●日までに、ここまでの粒度でまとめようと思いますがイメージ合いますか?」と自分の見積りを提示し、相手の反応を見て調整します。ポイントは、“期待値を下げに行く”のではなく、“説明可能な期待値に着地させる”ことです。「なぜそこまで時間がかかるのか?」「なぜその粒度なのか?」と聞かれたときに、納得できる説明ができるように調整することが大切です。
期待値調整が必要なのは顧客だけではない
期待値調整というと、顧客との会話だけをイメージしがちですが、実は社内においても非常に重要です。
顧客向けの期待値調整
たとえば、顧客との打ち合わせで資料提出を求められた場合、「●日までに、○ページで概要をまとめます」と事前に伝えることで、納期と品質に対する齟齬を防げます。具体的には、議事録などでも活用できて、「速報ベースで今日中に出す」や「精査して明日の午前中に出す」といったように、提出タイミングと粒度を合わせておくと信頼につながります。
社内向けの期待値調整
上司へのレビューが必要な場合、「明日午前中までにはたたき台を共有します」「顧客への資料提出にはまだ時間があるので、いついつまでには資料を作成します」などと明確に伝えるだけで、レビューする側のストレスは大幅に軽減されます。ITコンサルでは、内部資料のレビューが必須のため、こうした“身内向け”の期待値調整が業務を円滑に進めるためには欠かせません。
SEから転職した私が感じたこと
SEとして働いていた頃、納期に関しては気を付けていたつもりでしたが、「期待値調整」という言葉を明確に意識したことはありませんでした。コンサルに転職して初めて、「この資料は●日でこのレベル感に仕上げる」という会話の中に、期待値調整という“暗黙のプロセス”が存在していたことに気づきました。そして、SE時代はそれを明確に実施できていなかったと感じました。また、周りがそれを実施していませんでした。SEとITコンサルの大きな違いだと思います。
まとめ:期待値調整こそが仕事の要
期待値調整とは、単なるスケジュール共有ではありません。アウトプットの品質・納期・粒度について、依頼者と認識をすり合わせ、共通のゴールを設定することです。これは、顧客との信頼関係を築くうえで不可欠なスキルです。
- 作業に入る前に、納期・品質のイメージを相手と合わせる
- 自分でも見積もりを持ったうえで提案する
- 期待値を下げるのではなく、説明可能な期待値に着地させる
- 顧客向けにも社内向けにも、期待値調整は必要
SE時代は全然意識できていなかったのですが、ITコンサルに入ってすぐに重要性に気づかされました。コンサルに入ってスキルが身についた一つだと感謝しています。では!
※ちなみに、私がSEこそITコンサルに転職すべきと考える理由は以下に記載しています。
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