「コンサル未経験でもITコンサルとして活躍できるのだろうか」、「そもそもコンサル未経験でコンサルに転職できるのだろうか」
ITコンサルへの転職を考えている方で特に30代の人は未経験でも転職できるのか不安に感じている方も多いのではないでしょうか。30代になると今後のキャリアに悩むことがあり、未経験への職種に転職を考えることがあるかと思います。
結論から言うと、コンサル未経験でもITコンサルに転職することは十分に可能です。実際に、中途採用のほとんどがコンサル未経験であり、私もSEからITコンサルに転職しました。
本記事では、コンサル未経験でもITコンサルに転職できる理由を解説します。未経験者として転職する際の強みや、転職後に役立つスキルも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ちなみに、私はSEこそITコンサルに転職すべきと考えているのですが、その理由を以下の記事にまとめていますので、もし興味があれば覗いてみてください。
未経験でもITコンサルに転職することは可能
コンサルティング業界の仕事内容は多様であり、純粋にコンサルの経験しかない人よりも、実際に、事業会社等での経験を活かして、コンサル未経験の中途採用者として入社した人たちが数多く活躍しているのが現実です。
例えば、SE経験を活かしてITのプロジェクトに携わったり、経理経験を活かして会計系のプロジェクトで活躍することができます。
コンサルティングファーム側もそういった業界知見のある人材を求めているため、未経験でも問題なく転職することができます。
未経験でもコンサルとして入社してほしい理由
コンサルは年収が高いことからもわかるように、求められるレベルが高いです。しかし、それでも未経験の方を採用するのには理由があります。その理由を5つ紹介します。
ポテンシャル採用を重視する業界だから
コンサル業界では「即戦力経験」よりも「ポテンシャル=将来の伸びしろ」を重視して採用する傾向があります。クライアントの課題は多様かつ変化が激しいため、入社時点で全ての知識や経験を持っている人はほとんどいません。そのため、論理的に考え、課題を整理し、解決策を導き出す力がある人材であれば、未経験でも高く評価されるのです。
異業種の知見が武器になるから
コンサルタントは、クライアントが属する業界の知識をもとに課題解決を行います。例えば、SEの経験者はITシステムに強く、会計や財務に携わっていた人は数字に基づく改善提案が得意です。こうした前職の専門性や業界理解は、コンサルティングに直結する大きな強みとなります。未経験者でも、自分のバックグラウンドを生かすことで、すぐにプロジェクトで価値を発揮できるのです。
体系的な研修制度が整っているから
大手ファームや成長中のコンサル会社では、新人を早期に一人前に育てるための研修制度が充実しています。入社直後から、フレームワークの使い方や課題解決手法、プロジェクトマネジメントの基礎などを学べるため、未経験者でも短期間で必要なスキルを習得可能です。教育体制があるからこそ、業界未経験でも安心してチャレンジできる環境が整っているのです。
案件が増えており人材不足だから
近年、デジタル化やDXの推進、グローバル展開、業務効率化のニーズが急速に高まっており、コンサルティングの需要は拡大を続けています。一方で、経験豊富な人材だけでは供給が追いつかないため、業界全体で人材不足が深刻化しています。その結果、未経験者でも採用対象とするケースが増えており、挑戦のチャンスが広がっているのです。
必要なスキルは“汎用能力”だから
コンサルタントに求められるのは、専門的な知識よりも「論理的思考力」「課題発見力」「資料作成能力」「コミュニケーション力」といった汎用的なスキルです。これらは営業や事務、エンジニアなど、さまざまな職種で培える能力であり、業界未経験者でもすでに持っている場合が多いのです。専門性は入社後に学べるため、まずはこうした汎用スキルがあれば十分に通用します。
これまでの経験が強みになる
コンサル未経験者がITコンサルに転職できる理由は、これまでのキャリアでの経験を強みにできるからです。実際、コンサル業務において重要なのは、コンサルとしてのロジカルシンキングなのですが、その次には業界特有の知識や実務経験です。
たとえば、SEとしての経験や、経理としての知識を活かすことで、クライアントに価値を提供できるのです。そういったコンサルとしては実際に経験できない業務を経験していることはコンサルにはない強みになります。
SE → ITコンサル
システム開発やインフラ構築を経験したSEは、ITコンサルとして高い親和性があります。要件定義やテスト、運用設計などのスキルは、システム導入支援やDX推進プロジェクトで即戦力になります。また、現場での課題やトラブル対応の経験は、クライアントとの議論で「現実的な提案」をする強みにもなります。
経理・財務 → 会計/経営コンサル
経理や財務での経験は、会計コンサルや経営改善コンサルで大きな強みとなります。日常的に数字を扱ってきた経験から、財務諸表や経営指標の分析に長けており、改善提案を行う際に説得力が増します。さらに、予算管理や資金繰りを理解しているため、経営者目線での助言ができる点も、コンサルとして評価されやすい要素です。
営業職 → 業務改善/戦略コンサル
営業で培った「顧客とのコミュニケーション力」「課題発見力」「交渉力」は、業務改善や戦略立案の場面で活かせます。特に法人営業経験者は、商流や販売プロセスに詳しいため、営業組織改革やCRM導入のプロジェクトで力を発揮できます。数字を追う姿勢や成果志向の考え方も、コンサルタントとしてのマインドと親和性が高いと評価されます。
メーカーの生産管理 → SCMコンサル
製造業での生産管理や品質管理の経験者は、サプライチェーンマネジメント(SCM)コンサルに適しています。現場のオペレーションを理解しているからこそ、業務フローの改善やシステム導入時に「机上の空論ではない提案」が可能です。製造ラインの効率化や在庫管理の知見を持つ人材は、グローバルで需要が高まっている分野でも強みを発揮できます。
マーケティング職 → マーケティング/デジタルコンサル
広告代理店や事業会社でのマーケティング経験は、マーケティングコンサルやデジタル戦略コンサルに直結します。SNS運用やWeb広告運用、データ分析のスキルは、クライアントの集客施策やブランド戦略を支援するうえで武器になります。さらに、KPI設計や効果検証に慣れている点も、成果を重視するコンサルの現場で高く評価されます。

30代未経験で入社した後の仕事内容イメージ
未経験で入社した後、どういった仕事内容になりそうか簡単にイメージをお伝えします。
業界知識・専門知識を活かす
前職の業界で培った知識は、クライアント理解や提案の現実性を高める武器になります。その業界のことを知っているためそういったプロジェクトと親和性が高いです。
- SE → ITコンサルでシステム導入支援やDXプロジェクト
- 経理 → 会計コンサルで財務改善や管理会計プロジェクト
- 営業 → 戦略/業務コンサルで営業改革やCRM導入支援
プロジェクト経験・調整力を活かす
30代なら多くの人が、チームでの業務推進や顧客対応の経験を持っています。そういった経験を活かして顧客対応を任されることもあります。これらはコンサル現場でも必須スキルであり、若手より早く任されやすい領域です。
- プロジェクトの進捗管理
- 関係者との調整・合意形成
- 会議の運営やファシリテーション
課題解決の実務経験を活かす
前職で「業務効率化」「売上改善」「コスト削減」といった課題に取り組んだ経験は、そのままコンサルティング業務につながります。クライアントも「実際に現場でどうやって解決したのか」という視点を求めるため、実務体験が提案の説得力を高めます。
とはいえ30代未経験だと苦労すること
未経験でもコンサルに転職できると言いつつも、苦労することも当然ながらあります。特に資料作成の場面で苦労することになるのですが、具体的にどういったスキルが足りなくて苦労するのかを紹介します。
論理的思考・問題構造化
苦労する理由
- 前職では「与えられた課題を解く」ことが多く、自分で課題を定義して構造化する経験が少ない。
- MECEやロジックツリーを「知識」として理解していても、咄嗟に整理して話せない。
苦労する場面
- クライアントから漠然とした悩み(例:「売上が伸びない」)をぶつけられたときに、即座に論点を分けて整理する必要がある。
- 上司に質問されたときに、結論→理由→根拠の流れで答えられず「で、何が言いたいの?」と突っ込まれる。
その対策
- 毎日ニュース記事や社内課題を「3つの論点」に分解する練習をする。
- 仮説ファーストで話す癖をつける(「私の仮説はAです。その理由は①②③です」)。
- 上司や先輩に説明する前に、自分で「30秒ピラミッドトーク」を用意してから話す。
定量分析力(Excel・数値感覚)
苦労する理由
- Excel関数やピボットを「なんとなく」使えるレベルでは、分析速度が遅くて仕事が詰まる。
- 数字の意味(%変化、伸び率、相関など)を即座に解釈できず、分析の「示唆出し」が弱くなる。
苦労する場面
- 上司から「この売上データを3時間後の会議までに傾向まとめて」と依頼されたとき。
- クライアントから「この施策の効果って何%くらい改善されるの?」と即答を求められるとき。
その対策
- ピボットや関数は「手を動かして覚える」ことが必須。日常的に模擬データを分析し、関数を組み合わせる練習を積む。
- ただ数字を出すのではなく「一言のインサイト(例:上位20%顧客で売上の80%を占める)」を必ず添える習慣をつける。
- 普段から新聞の経済記事や企業IRで数値を見て「率」や「比較」に強くなる。
資料作成・ストーリーテリング(PowerPoint)
苦労する理由
- 前職では社内向け報告書が中心で、「1スライド1メッセージ」「結論から」というアウトプット形式に慣れていない。
- デザインや構成にこだわりすぎて時間がかかり、納期に間に合わなくなる。
- 「読み手(経営層)が何を見たいか」を意識できず、情報過多になりがち。
苦労する場面
- 上司に「このスライド、結局何を伝えたいの?」と差し戻される。
- クライアント経営層から「説明は分かったけど、結論は?」と不満を持たれる。
- 提案書や定例報告で、短時間でスライドを大量に作成する必要があるとき。
その対策
- スライドを作る前に「結論の一文」と「根拠の3点」を必ずメモに書き出す。
- 他人のスライドを真似してテンプレートを蓄積し、ゼロから作らない。
- 常に「1ページで経営者が意思決定できるか?」という視点でチェックする。
まとめ:これまでのキャリアを大切にする
コンサル未経験でも、ITコンサルに転職することは十分に可能です。転職を成功させるためには、これまでのキャリアで得た経験やスキルを強みにすることが大切です。
未経験から中途採用で入る人が多く、入社後には専門的なスキルを身につけるための研修が行われますので、コンサル未経験でも心配することはありません。
この記事がコンサル未経験の方への参考になれば幸いです。



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