「ITコンサルに転職したいけれど、面接ではどんなことを聞かれるのだろう?」
「面接対策として何をすればよいのだろう?」
「ケース面接ってとても難しいけどどのように対策をしたらよいのだろうか」
「転職面接を進めるうえで意識しないといけないことは何だろう」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。ITコンサルは人気職種であり、転職市場でも注目されていますが、面接の難易度は高いと思います。
転職活動全般に言えることですが、転職は面接が最も大きなウェイトを占めています。ITコンサルへの転職も例外ではなく、むしろITコンサルへの転職は面接で全てが決まると言っても過言ではないと思います。特にコンサルは面接回数が少なく、その中でも一次面接が最も重要だと考えています。
この記事では、私の実体験をもとに、ITコンサルで最も重要なことが分かった気がしますので、それをお伝えします。転職面接で求められるポイントや、面接官の意図、そして具体的にどのような準備をすればよいかを解説します。
※ちなみに、私は元々SEからITコンサルに転職したのですが、SEこそITコンサルに転職すべきと考えており、その理由を以下の記事にまとめていますので、もし興味があれば覗いてみてください。
ITコンサルの面接では、入社してやりたいことを解像度高くイメージできているかが問われる
ITコンサルの転職面接では、「あなたはなぜ当社に入社したいのか?」という志望動機に加えて、「入社後に何を実現したいのか?」という将来のビジョンが問われます。ここで重要なのは、そのビジョンがどれだけ具体的に描けているかという点です。曖昧な言葉で「成長したい」「幅広い業務に携わりたい」だけでは、志望理由がないのと同じです。
ITコンサルは論理的思考や具体的な計画立案が求められる職種です。面接でもその姿勢が試されるため、志望理由やキャリアビジョンは、抽象的な願望ではなく、具体的なイメージと根拠をもって伝えることが求められます。
ミスマッチを防ぐため、そして解像度高い思考力があるかを見ている
コンサルティングファームは、採用においてミスマッチの回避を非常に重視しています。ミスマッチが起きると、早期退職につながるためです。これでは、採用コストがとても高くなってしまいます。そのため、応募者が自分の希望するキャリアやプロジェクトの内容について、どれだけ明確なビジョンを持っているかを確認します。
これは当社のことをちゃんと理解できているかの意思確認だけではなく、応募者が物事をどの程度解像度高く捉え、論理的に考える力を持っているかを測る目的も含まれています。コンサルとして活躍するためには、顧客の曖昧な要望を構造化し、具体的な課題や施策に落とし込む力が必要です。そのスキルを面接の場でも確認されていると考えるべきです。
具体例:私が実際に聞かれた質問とそのやりとり
では、実際にどのような質問がされるのでしょうか。ITコンサルへの転職面接でよく聞かれる質問は以下の通りです。
ケース面接は無い
最初から聞かれていない質問を書いてしまいましたが、ケース面接がないことは最初に伝えたかったです。よく「コンサルはケース面接が大変だ」と言われますが、私が、SEからITコンサルに転職した際の中途採用面接ではケース面接は行われませんでした。
転職エージェントからもケース面接はないと言われていたので、準備すらしていませんでした。転職エージェントに登録して、実際の面接の状況を確認しておくと安心です。ケース面接があるとないとでは、面接のハードルも下がるのではないでしょうか。転職エージェントを活用した転職活動については以下記事にまとめています。
志望動機
まず最初に聞かれるのは志望動機です。「なぜ現職を辞めるのか?」、「なぜコンサルなのか?」をセットで回答できるとよいと思います。今の現職にはこういう課題があって、それをコンサルに転職することで解決できると思っている理由を話せればよいです。
特に「なぜコンサルなのか?」は深堀りされます。単に「新しい挑戦がしたい」などの一般的な理由ではなく、具体的な経験から言語化する必要があります。なぜコンサルを選んだのかを自分の経験と結びつけて説明できると、面接官を納得させられます。
私の場合は、SEの時の同じPJにコンサルがいたので、その人たちの働き方をイメージし、「SEとして培ったシステム構築スキルを活かして、より顧客に近い立場で価値を提供したい」と回答しました。
コンサルとはどういう仕事だと理解しているか
未経験であっても、コンサルの仕事に対する理解をしっかり持っていることは非常に重要です。例えば、SEの経験がある場合、コンサルとの違いを明確にイメージできているかが求められます。私の場合は、自分がSEの立場で経験したプロジェクトにおけるコンサルタントとの関わりを思い出し、その働き方や役割の違いをしっかりと言語化できるように準備しました。
入社して1年後、3年後、10年後に達成したいこと
この質問は面接の中で最も時間をかけて深堀りされることが多いです。なぜなら、短期的・長期的にどのような目標を持っているのか、それはこの会社で達成できそうなのかのすり合わせをしたいからです。ここで重要なのは、具体的な目標を設定することです。
私は、「まずはシステム構築関連のプロジェクトに参画し、既存のスキルを活かしながらコンサルスキルを高めたい」と回答しました。そのうえで、「将来的には、IT企画や構想策定のような上流フェーズの支援にも関わりたい」と続けました。
すると面接官からは、最終的にはどういったプロジェクトに携わってみたいかといった深堀質問が続きました。私は「スマートシティのような社会インフラに関わるプロジェクトに携わりたい。そういった大規模なプロジェクトを実施できるのはこの会社しかないと考えている。ITの力で社会課題を解決するためには、SEではなく、より上流から顧客にアプローチできるITコンサルの方が実現の可能性が高いと考えている」と補足しました。
これだけではなく、この中でも具体的にどういったスマートシティの案件をイメージしているかや、システム構築関連のプロジェクトとは具体的にどういったものをイメージしているか、といった質問もありました。事前に自分のキャリアビジョンを細かく分解して言語化しておくことで、面接でのやり取りをスムーズに進めることができました。
これまでに最も大変だったこととその対応
過去の業務において「最も大変だったこと」とその対策について問われることもあります。これはコンサルとしての適性を見極めるために行われる質問です。どれだけ困難な状況に立ち向かっても、諦めることなく問題を解決してきたのかを伝えることが求められます。
具体的なエピソードを交えて、どのように状況を改善したかを分かりやすく伝えることが大切です。またこの質問を通して、コンサルとして活躍できそうかを見られています。
一次面接が最も重要
ITコンサルへ転職する際、一次面接は非常に重要です。その理由は、一次面接の面接官が転職後の上司となることが多く、その面接官の評価をファームとしては重要視しているからです。一次面接での評価は、最終面接の面接官であるパートナーに伝え、パートナーはその評価を最大限に尊重します。
そのため、一次面接での印象がしっかりと良ければ、最終面接での結果も自分に有利に働くことが多いです。また、こちら側の観点から、同じ職場になる人の雰囲気からその職場が自分に合うかを見定めることができます。
将来の職場の上司として評価は最終面接に大きく反映される
一次面接の面接官は、入社後に直接一緒に働く可能性が高く、一次面接では面接官から見た職場との相性や、チームに適応できるかどうかの評価がかなり重視されます。また、面接官と良い関係を築くことができれば、最終面接でも有利に働く可能性が高くなります。最終面接でのパートナーからの評価が最終的な判断材料になりますが、一次面接の評価が大きく反映されることは言うまでもありません。
一次面接のポイント
一次面接が重要なことを踏まえて、何をポイントに一次面接に臨むべきか、私の考えをお伝えします。
職場の雰囲気を知ろう
一次面接を通じて、同じ職場で働く上司やチームメンバーの雰囲気を知ることができます。一次面接は、どんなタイプの人が上司になるのか、どのような雰囲気の職場なのかを直接感じ取ることができる貴重な機会です。
また、逆質問では、実際に働く環境やチームメンバーに関する質問をすることで、自分にとって良い職場かどうかを見極める貴重な機会として一次面接を活用できます。
面接評価が最終面接に大きく影響することを意識しよう
最終面接は基本的にはパートナーが担当することが多く、そこで採用可否が決まりますが、一次面接での評価も同等以上に大きな影響があるのではないかと考えています。最終面接では、一次面接の結果を踏まえて質問をすることが多いので、一次面接での高評価を得ておくことが最終面接で有利に働く要因となります。
パートナーに対して、一次面接の面接官が「この候補者は合格に値する」というような高評価をしてくれれば、最終面接はかなりのアドバンテージを得た状態で面接を始めることができます。
定番質問の準備をしよう
一次面接では、志望動機や転職理由といった定番の質問が飛んでくるため、準備がしやすいです。逆に言うと、これらの質問に対する準備が不十分だと、面接官はすぐに見破ります。
そのため、一次面接では特にしっかりと準備をすることが重要です。職務経歴等の過去のことについてはすぐに回答できるかもしれませんが、入社後に何をしたいのかといった未来に向けた質問は深堀して準備する必要があります。
面接で落ちる人は、コンサルに合わないと思われてしまう人
面接で落ちてしまう主な理由は、面接官にコンサルに合わない人だと思われてしまうことです。つまり、面接官は「この人がコンサルとして長く活躍できるかどうか」を非常に重要視します。実際、コンサル業界は離職率が高く、企業にとっては採用コストが大きな課題で、離職率がKPIになっているくらいです。ここでは、コンサルとして活躍するために必要な資質を、面接でどう表現すべきかを紹介します。
コンサルに合わないと思われてしまう人の特徴と対策
1. 抽象的な回答しかできない
コンサルは、抽象的で複雑な論点をシンプルに具体化して顧客に伝えるのが大事なスキルになります。そのため、面接では自分の経験に基づいて具体的なエピソードを話すことが求められます。しかし、抽象的な回答しかできないと、面接官は「この人は解像度を高めるスキルが不足していて、課題の構造化や論点整理ができなさそうだな」という印象を持たれてしまいます。
対策:
面接では、質問に対してできるだけ具体的な例を挙げて回答することが重要です。例えば、これまでの経験を基に話すとよいと思います。具体例を挙げ、自分が問題をどう分析し、どのように解決に導いたかを伝えることができます。そういった、何かを聞かれたときにどのエピソードで回答するかは事前に準備しておくとよいかと思います。
2. 自分の考えを主張できない
コンサルは、上司やクライアントの意見を尊重しつつも、自分の意見を主張する必要があります。そうしないと何も考えられない人なんだなと思われてしまうからです。もし面接で自分の意見をしっかり述べることができなければ、面接官は「この人はコンサルとして意見を主張できない、致命的な欠点をもっている人なのでは?」と考えてしまいます。
対策:
コンサルとして必要なスキルの一つは、「自分の考えをしっかりと主張する力」です。面接で意見を求められた際には、反論されたり、異なる意見を述べられたりしても、自分の立場や考えをしっかりと伝えることが大切です。例えば、自分の考えに対する根拠を述べ、その背景や理論的な支持を説明できるように準備しておきましょう。面接官に反論されても、臆せず自分の考えを明確に述べる姿勢を見せることが重要です。
3. 話のつながりがない。ロジカルに考えられない
コンサルには、ロジカルシンキングが欠かせません。面接で、質問の意図を正確に理解し、論理的に答える必要があります。それは面接全体を通して言えることであり、先ほど言った転職理由と志望動機に脈略がないと、「この人はロジカルに考えられない」「一貫性のある考えを持っていない」と思われることがあります。
対策:
面接の中を通して、自分の話に矛盾を生じさせないように心がけましょう。特に、転職理由や志望動機については一貫性を持たせ、面接官が納得できるように話すことが大切です。質問を受けた際には、答えが整理されているかどうかを意識して、自分の考えを順序立てて話す必要があります。
逆質問のポイント
逆質問で大切なのは、その面接官の立場を意識した内容にすることです。役職によって知っている情報や答えられる範囲は異なるからです。一次面接では、配属予定の部署の上司や現場のメンバーが面接官になることが多いため、現場に根差した具体的な質問が効果的です。
一方、最終面接では、事業部長や役員など経営に近い視点を持つ方が面接官になるため、会社全体やキャリア観に関わるような質問が適しています。こういったように使い分けを意識することで、変な質問になることを防げます。
面接官とのスムーズなコミュニケーションが好印象に繋がる
逆質問と言っても、変に構えることはなく、純粋に聞きたいことをまずは聞き、面接官とコミュニケーションをとることが大切です。その意味もあり、面接官に応じて適切な質問をすることが大切です。職場の上司に会社全体のことを聞いても変な感じになりますし、役員に職場のことを聞いても分かるはずがないと思います。
一次面接官は、「この人が自分のチームに入ったらうまくやっていけそうか?」という観点で見ています。だからこそ、現場レベルでの働き方や人間関係に関する質問は、相手にとっても答えやすく、好印象を持たれやすいです。
最終面接官は、「この人を会社に迎え入れても問題ないか?」「この人の将来性はどうか?」といった視点で判断します。だからこそ、抽象度が高くても価値観や経営に近いテーマの質問は評価につながります。
逆質問具体例
今回の具体例では、シンプル化のために短文で表現していますが、その質問をする際に、なぜその質問をするのかが面接官に分かるように、質問の背景を含めて伝えると面接官が答えやすくなり、よりスムーズなコミュニケーションをとれて好印象になると思います。
一次面接での逆質問例
一次面接の面接官は、上司や同僚になる可能性が高いので、これからどういった職場で働くことになるのかのイメージが湧くようになりおすすめです。
部署のことを聞く
「御社の中で、こちらの部署はどのような雰囲気のチームでしょうか?」「どういったバックグラウンドの人が多いのでしょうか?」
実際に働くイメージを持ちたいという意欲が伝わり、面接官にとっても、自分のチームのことを話せばよいので答えやすい質問だと思います。
転職してきた面接官への質問
「○○さんも転職で入社されたと伺いましたが、入社直後に感じたギャップがあれば教えていただけますか?」「入社後にキャッチアップする上で、重要だったと感じるポイントはありますか?」
もし、面接官も中途入社なのであれば、この質問をすることで、同じ転職者目線のリアルな情報を得られるだけでなく、共感を生むきっかけになります。
最終面接での逆質問例
最終面接では、せっかく役員クラスと話せる良い機会なので、そういった意味合いで質問するとよいと思います。会社全体のことやその人の価値観やキャリア観を尋ねるととても参考になると思います。
仕事への価値観を聞く
「これまで大切にしてきた仕事への価値観を教えてください」
その人の考えを理解したいという姿勢が伝わり、それを今後の仕事に取り入れてみようという向上心を伝えられると思います。
キャリアの考え方を聞く
「○○さんが私と同じくらいのご年齢の時、大切にされていた価値観や意識していた行動などがあれば教えていただけますか?」
自分の成長と重ね合わせながら相手の経験を参考にしたいという姿勢が伝わります。
NG逆質問例
当たり前なのですが、逆質問で評価を下げてしまうような質問は絶対に避けなければなりません。主に以下のようなことは質問としては避けるべきだと考えています。
調べれば分かることを聞く
「御社の主要な事業内容を教えてください」
HPや求人票で確認できることを聞くと、適切な場で適切なことを聞けない人なんだなという印象を与えてしまいます。その場に合った発言/質問をするようにしましょう。
面接官の役職に合っていない質問
一次面接官に:「今後の会社の成長戦略について教えてください」
最終面接官に:「部署にはどういう方が多いですか?」
聞き手に合わせた発言/質問/説明ができない人だと思われ、仕事ができないのかもなと思われてしまいます。
待遇や働き方に偏った質問
「残業はどのくらいですか?」「リモート勤務は可能ですか?」
せっかく面接官と話せる貴重な時間に本質的ではない質問をすると、時間を有効活用できない人なんだなとイメージを持たれてしまいますので、避けた方が良いと思います。
まとめ:入社後の解像度が合否を分ける
ITコンサルの転職面接では、「入社後に何をしたいのか」「自分がどんな価値を発揮できるか」をどれだけ具体的に語れるかが合否のカギを握っていると考えています。この記事が、ITコンサルへの転職を目指す方にとって、面接対策の一助になれば幸いです。
また、こういった面接対策は、転職エージェントがプロなので、転職エージェントを活用することをお勧めします。具体的には以下の記事の通りですので、参考にしてみてください。
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